ロゼリアの黒い鳥
ところが、それを父に目撃されてしまったのだ。
頻繁に姿を消すロゼリアを訝しんだ使用人の一人が父に告げ口をし、父がロゼリアを探しに来たことで発覚した。
父は、烈火のごとく怒った。
その顔を見て、ロゼリアはギデオンに逃げてと叫んだが、先回りをしていた使用人たちによって捕まり、屋敷の中に引きずり込まれる。
怒った父がどんな行動に出るかなど、想像は容易だった。
ギデオンは縄で縛られ、父に長時間暴行を受けた。ロゼリアもその場に連れてこられて、彼が痛めつけられるさまを見せつけられたのだ。
拷問に近い、残虐な仕打ち。
徐々に身体中が血に染まっていくギデオンを見ながら震え上がり、もう止めてと父に叫ぶ。
だが、父は恐ろしい笑みを浮かべながら言う。
「お前が私に逆らうような真似をするからこうなるんだ」
ギデオンがこんな目に遭っているのは、ロゼリアが悪いのだと。
ならば、痛めつけるのは自分にしてほしいと、ギデオンを庇うように目の前に立ちはだかったが、父は容赦なくナイフをロゼリアに振り下ろし、切っ先を右肩に滑らせた。
斬られた箇所がじくじくと痛んだし涙が止まらなかったが、耐えて父の前に立ちはだかった。
だが、結局激高した父の蹴りが腹を打ち、その衝撃で意識を失ってしまう。