契約結婚のはずが、極上弁護士に愛妻指名されました
 渚の言葉に、和臣がわずかに目を細める。そして低い声で聞き返した。

「冗談?」

 同時に、カウンターに着いたのと反対側の彼の腕がゆっくりと動く。

「誰が冗談だと言ったんだ」

 両脇に手を着かれてあっというまに渚はカウンターと和臣の身体に挟まれた。
 和臣の、どこか野生的な甘い香りが渚を捕らえるように包み込んでゆく。渚は、和臣の真っ直ぐな視線から目を逸らすこともできないままに息を呑んだ。

「期間限定だろうがなんだろうが、君は私の妻なんだ。少しは自覚持って、それらしくしてくれないと」

「それらしく……?」

 渚は和臣の瞳から目を逸らせないまま、彼の言葉を繰り返す。
 和臣がゆっくりと頷いた。
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