契約結婚のはずが、極上弁護士に愛妻指名されました
 ふたりの間の張り詰めた空気を、切り裂くように玄関のインターフォンが鳴る。
 和臣の指がぴたりと止まった。そして玄関の方向をチラリと見てから、ゆっくりと渚を解放した。

「そういえば、実家から荷物が届くんだった」

 呟いて、平然とキッチンを出て行く大きな背中を見つめながら、渚はその場に縛りつけられたように、動くことができなかった。
 しばらくして和臣がダンボールの箱を抱えて戻ってくる。
 それでもどうしていいかわからずに立ち尽くしていた渚だけれど、和臣が荷物を開けながら言った言葉に反応した。

「……あぁ、米だな。それから味噌」

「え?」

 米と味噌という言葉につられて渚が覗き込むと、和臣が言った通りダンボールの中いっぱいに米やら味噌やら野菜やらたくさんの食料品が詰まっていた。

「わー!」

 思わず渚は声をあげて、ダンボールの中身を次々に出していく和臣の手を見つめる。
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