契約結婚のはずが、極上弁護士に愛妻指名されました
「それに私そんな相手いないもん」

 いやいたとしても結婚の動機してはどうだろう。調理師学校に行きたいから結婚してくださいだなんて馬鹿にしてるのかと言われても仕方がない。
 自分の案に乗ってこない妹に、千秋が焦れたような声を出した。

「もう、渚は……。本当にアッチ方面はダメなんだから。かわいい顔してるのに、もったいないわ。渚が本気を出せばすぐにでも結婚相手なんて見つかるはずよ」

「まさか! そんなわけないじゃない!」

 渚は声をあげて首を振った。
 渚も千秋も中学生から短大までを父が決めた女子校に通った。千秋は放課後それなりに遊んでいたようだが、毎日祖母の店に通っていた渚にはまったくその経験はない。
 そんな渚がすぐに結婚相手を見つけられるわけがないのだ。

「でもただ結婚するだけじゃダメなのよ。祐くんみたいに優しくて、妻のやりたいことをやりたいようにやらせてくれる相手じゃなきゃ」

 言いたい放題の千秋に祐介が苦笑しながらも優しくストップをかけた。

「千秋、もし渚ちゃんにそんな相手がいたとしても、誰でもいいわけじゃないよ。それこそお義父さんが認められる相手でなきゃ、一悶着あるだろう。そしたら本末転倒だ」
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