契約結婚のはずが、極上弁護士に愛妻指名されました
「あ、確かに」

 千秋が呟いて黙り込んだ。
 千秋の結婚は、もともと父が選んだ相手だったからこそスムーズにいったといえるだろう。今だって、『夫と相談して決めました』が通用するのはそういう相手だからこそ。
 渚が自由に選んだ男性を連れていったらどうなるのか……考えただけで恐ろしい。
 すると祐介が意外なことを言い出した。

「て、言うかさ。そんなことしなくてもお義父さんそろそろ考えているんじゃないか? 渚ちゃんの縁談」

「え!?」

 渚は驚いてカサゴを捌いている手をぴたりと止めて声をあげる。
 千秋が夫をじろりと睨んだ。

「祐くん。お父さんからなにか聞いてるの?」

 まるで裏切りは許さないわよ、と言わんばかりの妻にたじたじしながら祐介が少し慌てて話し出した。

「な、なにも聞いてないけどさ。千秋の見合いも二十四歳じゃなかった? 俺お義父さんに言われたんだよ。二十四歳にもなって結婚しない娘がいるんだが会ってみてくれないかって。渚ちゃん今年二十四歳だろ?」
< 30 / 286 >

この作品をシェア

pagetop