契約結婚のはずが、極上弁護士に愛妻指名されました
 姉夫婦にしか打ち明けていない大それた計画を口にして、声が少し震えてしまう。それでも渚は、膝に置いた拳に力を入れて、自分を励ました。

「当然父は許してくれないと思います。しっかりした人と結婚をして親を安心させるのが、娘の義務だと思っているような人ですから。だからといってこっそり学校へ通うことは不可能です。私は実家に住んでいますし、ひとり暮らしも許してもらえそうにありませんから」

「だから、音川さんと結婚を?」

 瀬名の問いかけに、渚はこくんと頷いた。

「はい。できたら、調理師免許が取れるまで。その間にゆっくりと父を説得しようと思っていました。調理師免許を取れば少しは父の私を見る目も変わるかもしれません」

「仕事はどうするの?」

 また瀬名が問いかける。その言葉に導かれるような気持ちで渚は言葉を続けた。

「とりあえずは辞めません。貯金も少しはありますけど、学費に使ってしまいますので。学校は事務所から近いところにあるので、夜間に通おうと思っていました」
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