契約結婚のはずが、極上弁護士に愛妻指名されました
 自分の計画のすべてを言い終えて、渚はホッと息を吐く。
 ここのところひとりきりで考えていた大切な計画、それを全部吐き出して、渚はどこかスッキリとした気持ちになる。悩み事は話すだけで楽になるなんていうけれど、まさにそんな気分だった。
 でも次の瞬間、この計画はダメになったのだと思い直して大きな落胆を覚えた。渚が専門学校へ行くためには、また別の方法を考えなくてはならない。
 一方で瀬名は「なるほどね」と呟いてコーヒーをひと口飲むと、そのまま黙り込み、なにか思案するようにソファに肘をついてコーヒーカップを見つめている。
 おそらく内心では無茶苦茶な奴だと呆れているだろうに、そんなことは微塵も感じさせないところが、さすがだなと渚は思った。
 そしてそれだけで、どこか救われたような気分になった。
 今回はうまくいかなかったけれど、とにかくいろいろやってみよう。
 この話は、これでおしまいだ。
 だが渚がそう思った時、しばしの間沈黙していた瀬名が、ゆっくりと視線を渚に向けて再び口を開いた。
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