契約結婚のはずが、極上弁護士に愛妻指名されました
「調理師免許は、いつ頃取れそうなの?」

「え?」

「専門学校に通って、どのくらいで取れるものなの?」

 彼がまだ渚の計画に、興味を持ち続けていることにやや戸惑いながら、渚は彼の疑問に対する答えを口にした。

「最短で一年半くらいです」

「一年半か……」

 呟いて再び瀬名が沈黙する。その様子に渚は驚いて目を見開いた。
 もしかして彼は、渚の突拍子もない話を笑いもせずに聞いてくれただけでなく、渚がどうすればいいのかを真剣に考えてくれているのだろうか。
 だとしたらどこまで親切な人なのだろうと渚は思う。
 いくら上司に頼まれたからといっても、彼は本当はこうやって時間を取ることすらままならないくらい忙しいはず。それなのにとるに足らない渚の悩み事を一緒に考えてくれるなんて。
 彼は根っからの弁護士なのだと渚は思った。
 そしてせっかくだったら、その彼にほんの少しでもヒントをもらえないかと思い渚は口を開いた。
< 64 / 286 >

この作品をシェア

pagetop