契約結婚のはずが、極上弁護士に愛妻指名されました
 でもこれは聞いておかなくてはいけないことだとも思った。
 渚の一生を左右する計画のパートナーになるかもしれない人がなにを考えているかわからないというのでは、あまりに心許ない。
 渚は瀬名をジッと見つめる。
 実力、人望、名声、そのすべてを持っているといっても過言ではない彼が、いったいなぜ……?

「どうして、か……」

 瀬名はそう呟いて腕を組む。そして少しだけ考えてから、ニヤリと笑って口を開いた。

「おもしろそうだからだよ」

「……へ?」

 彼がいったいなぜ渚の計画に乗ろうというのか、具体的な理由を想像していたわけではないけれど、それでもその返答は斜め上をいくものだった。

「おもしろそう……ですか?」

「そう」

 瀬名が頷いた。

「まず佐々木さん、君自身がおもしろい。大人しいお嬢様だと思っていたのに、どうやらそれだけではないようだ。目標のためにこんなに大胆なことを考えるくらいだからね。それから……」
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