HONEYBEE(1)~アラフォードクターと一夜から始まる身代わり婚~
「陽依さん…ありがとう御座います」

突然、私に礼を言われた陽依さんは目を円くする。

「私、瑞希さんに礼を言われるようなコトしてませんけど」

「夢の中で…お世話になったので…」

「夢?」

「私達の赤ちゃんを護ってくれたと言うか…」

「…不思議な夢だな…陽依」

紡さんの目が好奇に満ちていた。

「本当に不思議な夢ですね…瑞希さん…でも、あれから順調で、良かったですね」

「何、産まれてからが本番です…」

「神の手を持つ副院長が居る…大丈夫だよ…瑞希さん。一ノ瀬社長夫妻の写真撮影が終わったようだ。挨拶に行くぞ。陽依」

「はい」

紡さんが兄達の撮影を終えたのを見計らい、挨拶に行った。

穏やかに晴れ渡った青い空の下。
世界の全てが兄達の結婚を祝福しているような気がした。

「おカラダの方は大丈夫ですか?」

兄達の結婚をプロデュースしたウエディングプランナーの水瀬葵(ミナセアオイ)さんが身重の私を気遣い、声を掛けてくれた。元大手航空会社『エンペラー航空』CAで小顔で鼻筋の通った美人な顔立ち。
細やかな気配りも出来て、気さくな人だと智咲さんが言っていた。

「大丈夫です…お気遣い、ありがとう御座います」

兄達は水瀬さんのプランナーとしての腕を褒めていた。

「あの、水瀬さん…私達の結婚披露宴もぜひ、此処でしたいんですが…いいですか?」

「瑞希!?突然、何を言い出すんだ?」



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