エリート外科医は最愛妻に独占欲を刻みつける
伊東先生を全身全霊で信じている彼女を見ていると、どうしても苦しくなる。だからあまり関わらないようにしていた。
女癖の悪い男なんてどこにでもいるし、彼女のことは伊東先生も特別大事にしているようだったから、それならいつか変わるかもしれないと思ったからだ。
しかし数年後、状況が段々と彼女にとって悪い方へ変わり始めた。聞けば、彼女の勤めていた会社が倒産し、再就職に苦労したらしい。
『あいつ派遣でしか雇ってもらえなかったらしくてさー』
『えー。かわいそー』
『仕事も大したものがないせいか、時間持て余してんだろうな。呼べば飛んでくるんだよ』
その頃から彼女がいない酒の席で、看護師相手に彼女を貶めるような言動をするようになった。
そうしておきながら、酔ったら迎えにだけ呼びつけるのだ。
だというのに相変わらず、彼女の目は伊東先生しか見ていない。花のような笑顔も、変わらない。
そして今年の春、初恋の彼女との再会というドラマチックな状況に、あの男は夢中になった。