エリート外科医は最愛妻に独占欲を刻みつける

 実家に行く日は、大哉さんが診察や手術の都合をみて、来週に決まった。それほど遠いわけでもなく、車で一時間くらいの距離だが帰るのは久々だ。

 おまけに、大哉さんを紹介するのだから今からめちゃくちゃに緊張する。といっても、電話で大哉さんと母が話をした後日、母からまた電話があってかなり喜んでいたのでまずなんの問題もなく終わるだろう。父は無口な人で、我が家では母の発言が一番強い。

『お医者さんなんてカッコいいわねー。ねえねえ、どんな人? 見た目は?』

 あんまりはしゃいでうるさいので、大哉さんの画像を撮って送ったらなおさらうるさくなった。わが母ながら、ミーハーな人だと思う。
 
 大哉さんは、忙しくても一日一度は必ず連絡を入れてくれた。遅くなっても病院の仮眠室は使わず家に帰って来てくれる。そのおかげで、彼に対して不安に思うことはまったくなかった。

 とても穏やかに優しく、日常が流れていく。今週も同じように平日が過ぎていき、土曜日の昼のことだった。

 大哉さんは病院で、夕方からカンファレンスに呼ばれているとかで、夜も遅くなると聞いている。
 私は金曜の夜から泊まっていて、午前中に家事を済ませて、昼からはダイニングテーブルで医療事務のテキストを開いていた。

 前に、大哉さんにも相談したことがあるけれど、働きながら無理しない程度で勉強することに決めたのだ。
 結婚するとしても、資格はとっておくに越したことはない。医療事務といっても何種類かあるようで、必要に応じて挑戦していったらいいと大哉さんも応援してくれた。

 集中して二時間ほど経過した時、スマホの着信音が鳴って顔を上げる。

「……また」

 通話着信で表示されているのは、伊東先生の名前だった。別れてからスマホに連絡があったのは、これで二度目だ。


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