エリート外科医は最愛妻に独占欲を刻みつける
「本番に弱いから、本命には落ちちゃうし」
「ぶ、部活は頑張ってたでしょ!」
「バドミントンね。あれだって、友達同士でやったら勝てるのに試合本番になると負けちゃうじゃないの」
どうにか話を逸らすのには成功した。伊東先生が家庭教師だったことは大哉さんも知っていることなのだが、やっぱり話に上げたくないし両親に思い出してほしくない。
「バドミントンやってたのか」
「はい。母の言う通り負け試合が多かったけど、部活の友達はみんな仲がよかったので楽しかったですよ。そういえば、大哉さんはなにをやってたんですか」
「俺は、中高一貫で剣道をやっていた」
「剣道!」
「まあ、剣道!」
私と母の声がほぼ重なる。だって、大哉さんの剣道をしているところが頭に浮かんで、ものすごく似合うと思ってしまったのだ。
「似合います!」
「カッコいい!」
母とふたりで手放しでほめると、蚊帳の外になっていた父がまた「雅ちゃん……」と泣いていた。
「それで、式はいつ頃に? あ、もちろんするのよね?」
母が父の背中を撫でながら、ウキウキとした様子でこちらに身を乗り出す。そういえば、許すという言葉もなにもないまま、さらっとOKが出た様子で話は進んでいた。