エリート外科医は最愛妻に独占欲を刻みつける
「お父さんとふたりで大丈夫でした?」
「大丈夫。とても大事に育てられたんだなあと、お義父さんの話を聞いて思ったよ」
「そう? かな?」
「なんか、雅がこんな性格なのがよくわかった気がする」
「……誉め言葉?」
「もちろん」
両親いわくのほほん娘な私の性格は、少なくとも彼にとってはいい部分であるようだ。彼が、私の正面に立ち、頬を指の背で撫でる。
それから、これはもう無意識か条件反射のようなものか。彼が腰を屈めて顔を寄せようとして、私も瞼を閉じかける。
そして、ここは実家だということをハタと思い出し、拳一個くらいの距離で止まった。
「……さすがに実家でキスはまずいな」
確かに、親にキスシーンを見られるのは、絶対嫌だ。そんなのは誓いのキスだけでいい。それでも恥ずかしいのに。
だけどここへ来てから落ち着いて両親に対応してくれた大哉さんに私は惚れ直していて、ちょっと甘えたい気分だった。ひょこ、と彼の身体の横から、店の方を覗きみる。
さっきまで窓際にいたふたりの姿は見えなくなっていた。きっと、厨房の方へいったのだろう。
「……今、見てないです」
身体を元に戻して、こっそりとそう言った。
彼が、キスを強請った私にふっと目元を緩ませる。私の両肩に手を置いて腰を折り、背中で私の身体を隠すようにして、そっと唇を重ねた。