エリート外科医は最愛妻に独占欲を刻みつける

 全てが順風満帆の中に居た。そのおかげで、私はすっかり忘れていた。
 仕事が終わって、更衣室で大哉さんにメッセージを送る。

【今から帰ります。大哉さんは遅いんですよね。お夜食用意しときます】

 今日は金曜で、明日の土曜は私はお休みだ。だから、彼の帰りが遅くなっても起きて待っていられる。
 私服に着替え終わるまでの間ではメッセージに既読は付かなかったが、後で見たらなにか送ってくれるだろう。
 ロッカーを閉めてスマホをバッグに戻そうとした時、手の中でスマホが振動した。

「あっ」

 長い振動は、通話着信だ。大哉さんに間違いないと思い、スマホの画面をタップしようとして、ギリギリで指を止めた。

「……伊東先生」

 以前にあった二回の着信から、今までなにもなかったからきっと間違いだったのだと思ってそれきり忘れていた。

 さすがに、三度の間違い電話はありえない。と、思う。

 通話着信は、一分間ほど続いてようやく切れた。それで少しホッとしたら、今度はメッセージアプリの通知が入る。ちょうど別の画面を開こうとタップしたタイミングだったため、予定外にそのメッセージ画面が開く。

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