エリート外科医は最愛妻に独占欲を刻みつける
それは致し方ないことだし、別に伝わっても構わないと思っていた。
だけど、まさかそれでこんな風に連絡をしてくることは予想外でもある。それとも、結婚する前から着信はあったしそれとはまったく無関係なのだろうか?
考えていてもさっぱりわからない。ただ、これはもう大哉さんに報告すべきことだろう。
仕事の最中に聞かせることでもないから、彼が帰宅してからになるけれどメッセージ画面をそのまま彼に見せてしまおう。
騙されるもなにも、もうすでに結婚しているし彼が私を騙す必要などどこにもない。
単なる伊東先生の嫌がらせだとしか思えない。
――でも、そんな人でもなかったのに。
少なくとも、付き合っていた時はこんなことをする人じゃなかった。
もはや、綺麗な思い出にしておくのも厳しいけれど、これ以上汚してほしくない。
考えごとばかりしているせいか、中々食事が進まず気が付けば一時間ほど経っていたがどうにか全部食べて後片付けを終えた。
先に入浴を済ませて、またリビングに戻ると二十一時を過ぎたところだ。テーブルに置いていたスマホを見ても、まだ大哉さんからの連絡がない。
今夜は忙しいのかな。
急患などがあると、帰れないこともある。どうしたものか考えたけれど、やはり夜食の用意はしておくことにした。