エリート外科医は最愛妻に独占欲を刻みつける
ポップアップ通知が来て、大哉さんであることを祈ったけれど、違った。
だけど、伊東先生でもない。知らない番号からのショートメッセージだった。
【雅さん?】
【突然ごめんなさい。話したいことがあります。電話してもいいでしょうか】
「えっ? えっ?」
立て続けに入ったメッセージに、頭が混乱する。知らない番号で、だけど向こうは私の名前を知っている。
このままスルー? でもそれも気持ち悪い。
返信するべきか考えていると三つ目のメッセージが届く。
【直樹とまだ連絡取ってるよね】
そのセリフで、私は息を呑んだ。
――あの人だ。
あの夜カフェバーに、伊東先生と腕を組んで入ってきた女の人。顔ははっきり覚えていないけれど、大人っぽくて綺麗な人だったという印象だけが強く頭に残っている。
途端、なんで彼女が私にこんなメッセージを送ってくるのだと、急速に頭に血が上った。
しかも、名前も名乗らずのっけから、大人とは思えない随分失礼なメッセージだと感じたのだ。三つ目のものなど、普通の感覚を持っていたらありえない。
すぐに、取ってませんと返信しようとしたら、今度は通話着信だ。頭にきていた勢いのまま、私はうっかり通話に切り替えてしまった。