エリート外科医は最愛妻に独占欲を刻みつける
「……大哉さんが帰ったら、全部話そう」
きっと、全部吐き出したら不安は消える。それに、私がしっかりしていればなんの問題もないのだ。
自分にそう言い聞かせて励ましながら、メッセージアプリを開く。大哉さんとのトーク画面を開いたが、最後のメッセージが未読のままだった。
いつもなら、彼が忙しいのはわかっているから、そこまで気にしない。だけど、今は不安が勝ってどうしても落ち着かない。
伊東先生は、このマンションを知っているのだろうか。同じ大学の先輩後輩だし、最初は仲がよかったならきっとどこに住んでいるかくらいわかっていそうだ。
私が結婚したことも聞いていたら。
沢田さんだって、あんな失礼な電話をしてきた人だけれど、それだけ不安になるくらい伊東先生が『おかしい』のなら。
スマホを握ったまま立ち上がり、私は玄関まで走って戸締りの確認をした。オートロックだし、セキュリティはしっかりしてるから大丈夫。の、はずだ。
――大哉さんに、早く話したい。
夜食を作るはずだったのに、気もそぞろになってそれどころじゃなくなった。冷凍庫に作り置きの混ぜご飯の素があるから、それを解凍しておにぎりにしよう。後は今夜作った具沢山のお味噌汁。
それなら、彼が帰ってからでもすぐに準備できる。
スマホを手放せずにずっと握ったまま、寝室のベッドに潜り込む。彼から連絡があったのは、二十二時をすぎてからだった。
メッセージではなく通話で、私は即座に反応した。