エリート外科医は最愛妻に独占欲を刻みつける
「一緒にお夜食食べようと思ってたから、残念だなって。大哉さん、大変だと思うけど休める時は休んでくださいね」
《仮眠は挟むから、大丈夫だ。夜食、食べたかったな。もう作ってあるなら朝帰ったら食べるから置いといて。じゃあ、おやすみ》
最後の方は、誰か人が来たのか少し早口で喋って通話は切れた。
「……おやすみなさい」
すでに切れてしまったけれど、小さく返事をする。
今夜のことは、どうにか自分で昇華するしかないようだ。もちろん、大哉さんが帰ったら全部話はするけれど。
ベッドに潜り込んで、目を閉じる。なにも考えずに寝てしまおうと思ったけれど、なかなかそうはいかなかった。
考えないようにすればするほど、沢田さんに言われた言葉が何度も頭の中でリピートしてしまう。それから、伊東先生が送ってきたメッセージも。
【雅は、高野に騙されてる】
本当に、意味がわからない。
私が着信拒否したことで、ふたりが喧嘩にならなければいいけれど。沢田さんも、伊東先生のスマホを盗み見るなんてことをして私に連絡してきたのだから、バレないように気を付けているだろう。
もう関わりたくもない人たちの感情に振り回されて、心が疲弊する。神経もまだ昂っていたんだろう。熟睡はできなくてうつらうつらとしては目が覚める、というのを朝まで繰り返す羽目になった。