エリート外科医は最愛妻に独占欲を刻みつける
《後藤さんに、会いたい》
――ん?
サチは、私のことを名字ではなく下の名前で呼ぶ。一体誰から?と不思議に思っている間にまたひとつポンっとメールの吹き出しが上がった。
《本当は、すぐに連絡したかったんだけど、なかなか信頼が得られなくて》
――信頼? 誰が、誰の?
《会って、ちゃんと話がしたい》
どくん、と心臓が大きな音を立てる。それから、とくとくと早鐘を打つように鼓動が高鳴った。
《メールでも電話でもいいから連絡が欲しい》
そのメッセージの後に、スマホの電話帳から引っ張ってきたのだろう連絡先のデータが表示される。
そこには『高野大哉』という名前と携帯番号、メッセージアプリのIDまで記載されていた。
《以上! 高野先生からのお手紙でした~! 私から雅の番号伝えとこうか?》
そのメッセージのすぐあとにニヤニヤ笑うクマのスタンプが送られてくる。
かああっと顔が熱くなった。
どういうこと。なんでサチが、高野先生からの伝言を送ってくるの? そりゃ同じ病院だし彼女は病棟の看護師だけど、それほど仲が良いという印象ではなかった。