エリート外科医は最愛妻に独占欲を刻みつける
「……やっぱり、もうちょっとなんか足した方がいい?」
迷ってばかりで頭の中がぐるぐるする。悩んでいてもしょうがないと、おもいきって送信ボタンをタップしてしばらくは、心臓がどきどきして止まらなかった。
しばらく、じっとメッセージアプリを見ていて、すぐには既読が付かなかった。心臓のどきどきが収まるまで待っても変わらずに未読のままで、なんとなく拍子抜けする。
そりゃ、仕事中なら既読になるわけない。なったとしても返事はずっと後だろうし。
「……かえろ」
メッセージひとつ送るだけで、なんだかとてもエネルギーを使った気がする。このまま更衣室にいても仕方ないので、スマホをバッグの中に放り込んだ。
手に持っていたら、ずっと気になってしまいそうだったから。
帰路の間に連絡はなく、いつもどおりに電車に乗ってコンビニに寄ってからワンルームの我が家に帰る。やっぱり食欲はないままで、夕食より先にシャワーを浴びた。コンビニで買った春菊の春雨スープを温めそれを食べ終えたとき、バッグの中から微かな着信音を耳が拾う。
《お疲れさま》
すぐさま、私も返信をした。
《お疲れ様です》
送ってから、しまったと後悔する。オウム返しのような素っ気ない内容なのに、まるで待ち構えていたみたいに数秒もかからず返信してしまったことが、なんだか恥ずかしい。
だけど、高野先生の返信も早かった。
《電話してもいい?》