エリート外科医は最愛妻に独占欲を刻みつける

「大丈夫です。……連絡あるかなって、待ってたので」

 素直な言葉がぽろりと出る。今日、さっちゃん郵便が届いてから、ずっとそわそわしていた。彼にメッセージを送ってからは、気にしないようにするのが大変だった。
 
『後藤さんは、明日は休み?』
「あ、いえ。土曜は隔週出勤なんです。先週は休みだったので、明日は出勤で」

『そうか、じゃああんまり長く喋らない方がいいな』
「平気ですよ? サチとか、一度話し始めると一時間くらいになる時があって」

 あんまり遠慮されるのも申し訳ない。そう思って言ったのだが、後になってふと首を傾げる。話がしたい、と言っていたけど、そんなに長時間かかる話なのか。一体、何を言われるのだろう。

 怖い気持ちと少しの緊張を孕んで、私はラグの上で正座をして彼の話を待つ。

『今日は、夕方外来が落ち着いてから内視鏡の勉強会があって』
「勉強会、ですか」
『メーカーから新しいのが導入されるから、営業が説明しに来てたんだよ。それで遅くなった』

「先生、外科なのに内視鏡もするんですか?」
『するよ。切除術とかある場合だけど、内科医と協力してやる時もあるし、術前検査で必要な時もあるし』

 内視鏡、というと胃カメラがすぐに思い浮かぶから、てっきり内科医ばかりなのかと思っていた。あんまり、直樹さんは仕事の話はしたがらないから、聞いたことがなかったのかもしれない。

『勉強会がなかったら、食事に誘える時間に連絡出来たんだけど』

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