エリート外科医は最愛妻に独占欲を刻みつける
黙っているわけにはいかない。
頷き、少しだけ彼の肩に伏せていた顔を上げる。
「……生理が、来なくて」
何からどう話せばいいだろう。ちゃんと座って頭を整理して話すはずだったのに、突然切り出すことになって頭の中が今は真っ白だ。
つらつらと思うままに口が動いてしまう。だからこそ、一番に次の言葉が出たのだろう。
「まさかと思うのはわかります。でも、相手は、大哉さんしかいなくて……」
疑われるのが怖かった。それを一番に恐れていた。本当は、もっとちゃんと信じてもらえるように、毅然として言うつもりだったのに、スタートが予期しないものになったから後はもう、感情的になるだけだった。
「信じてください。伊東先生じゃありません。彼とはずっと、なくて……っ」
しがみついていた手を緩めて、シャツの布地だけをぎゅっと握りしめる。怖くてどうしても手が震えた。
私が言葉に詰まると、寝室が静まり返る。息遣いさえ聞こえる静けさの中、やっと彼が言った。
「……静かに降ろすから、力抜いて」
言いながら、ゆっくりと私をベッドの端に腰かけさせる。私は座ったまま両足を床に降ろすと、彼が真正面に両膝を付いた。