雲居の神子たち
恋も別れも、私の運命
深山に戻る道、宇龍が馬車を3台用意してくれた。

一台には白蓮と石見と志学が乗り、白蓮の実家を回ってから深山に向かう。
もう一台には須佐と八雲と、宇龍。
そして最後の一台には私と尊が乗り込んだ。

私はもちろん深山に帰るけれど、尊はどうしても深山に向かうわけにはいかないらしく、町の外れまで尊を送って私一人が深山に帰ることになっている。

「尊のことを聞いてもいい?」

きっと話せないことはたくさんあるんだろうけれど、このまま何も知らず分かれるのは嫌だった。

念力が使えて、空間移動もできて、魔導士が若様と呼ぶ存在。
それはどこかの国も皇子様としか思えないけれど、であるならば今ここにいるのはおかしいし、それなりの事情もあるんだろうと思う。

もしかして何も話せないと言われるんじゃないかと思いながら、私は尊の返事を待った。

尊はしばらく考え込んでから、ゆっくりと口を開いた。

「俺は『神の力を宿す者』を探す旅をしているんだ」
「神の力を宿すもの?」
「そうだ」
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