雲居の神子たち
深山を降りる前の晩、私は八雲と一緒に眠った。
一枚の布団に枕を並べ、いろんな話をした。
思い出を話しながら、たくさん笑った。

「ごめんね、稲早」
八雲は自分が祭りに行きたいと言い出したことを何度も謝ってくれた。

「違うよ、八雲のせいじゃない。これは運命だったのよ」

今回のことはみんなが被害者。
白蓮は恋人だった志学を失い、実家に帰ることもできず、巫女見習いとして深山に入ることになったと聞かされた。
八雲だって須佐だって重い罰を受ける。
朝倉神官も、監督責任をとって担当神官から外されるらしい。
そして、わたしは深山を降りる。

実家に帰ることも考えたが、あの魔導士を探して旅に出ることにした。
この体に残った呪いの痣が消えないうちはどこにいても穏やかには暮らせないだろうし、こんな姿で生まれてしまった自分自身の存在意味と、持って生まれた力を確認するためには旅に出るのがいいと思えた。

「宇龍も行くんでしょ?」
「うん」

実家の父様からの命を受け宇龍が同行する。

「早く帰ってきてね」
「うん」

正直、いつ帰れるのか、本当に帰れるのかもわからない。
それでも行くしかないんだ。
これが私の運命なんだから。
< 113 / 115 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop