雲居の神子たち
「それで、稲早は白蓮さんの身代わりにするために誘拐されて、事情を聴いて何とかできないかと策を練っているのね」
「うん、そうなの」

八雲たちが事情を理解してくれるのに1時間ほどの時間がかかった。

何しろ、家に入った瞬間白蓮がいて、2人は固まってしまったのだ。
まずは白蓮の境遇を一つずつ説明し、私がなぜここにいるのかも伝えた。
もちろん、誘拐されてきたことを聞いた宇龍は険しい顔をしたけれど、今は自分の意志でここにいて、どうにかして白蓮を助けたいと思っていることを伝えた。

すべての話を聞いて、黙り込んでしまった八雲と宇龍。
長い沈黙の後、八雲がやっと口を開いた。

「ねえ稲早」
「うん」

「人助けもいいけれど、自分の立場がかなり危ういって理解しているのよね?」
「ぅん」
わかっては、いる。
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