江藤くんはループしがち
☆☆☆

とにかく江藤君からじきじきの許可が下りたあたしは放課後になると里香と共に、教室を出て江藤君と並んで歩いていた。


「江藤君は部活はしてないの?」


里香からの質問に江藤君は「してないよ」と、簡潔に答える。


「あんなに運動神経がいいのに、もったいないね」


あたしが言うと、江藤君が一瞬驚いた表情をこちらへ向けた。


「あ、今日の体育、男女合同だったでしょ? それで偶然見ただけだからね」


あたしは慌てて言い訳を口にする。


すると江藤君は納得したように表情をゆるめた。


なんだかあたし、さっきから江藤君のストーカーみたいで気持ち悪いかも。


そんなことを考えて落ち込んでいると、「放課後はどうしてもはずせない予定があるんだ」と、江藤君が言った。


「外せない用事?」


里香が首をかしげて聞く。


「ついてくるといいよ。ちょっと慣れない場所だとは思うけど、友達がいたほうがあいつも喜ぶと思うし」


江藤君の言葉にあたしと里香は目を見交わせた。


慣れない場所?


あいつ?


なんのことを言ってるんだろう?


質問するよりも江藤君についていった方が早そうだ。


早足で歩く江藤君の後をおいかけて、あたしたちはバスに乗り込むことになったのだった。
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