江藤くんはループしがち
このまま帰って、寝て、そしたら2月6日になっていて、そしてまたなにもわからないまま時間だけが過ぎていって……。


そんなよくない考えが頭の中をめぐり始めたので、あたしは強く左右に首を振った。


そんなことない!


きっと明日にはなにかヒントがつかめるはずだ。


須賀君が死んだ理由になるものとか、なにかが。


「じゃあ、気をつけて帰れよー」


先生の言葉を合図にして生徒たちがいっせいに席を立つ。


のろのろと鞄に教科書をつめていたとき、隣の江藤君がスマホを確認して表情を硬くしたのがわかった。


その豹変ぶりに驚いて視線を向ける。


江藤君は素早くスマホ画面に目を通すと、鞄を乱暴に掴んで走って教室を出て行ったのだ。


あたしはその後ろ姿をポカンとして見つめる。


「江藤君どうしたんだろうね? 急いでたみたいだけど」


里香に声をかけられてハッと我に返った。


なにかあったんだ!


あたしは大慌てで鞄に教科書を詰め込んで、里香と一緒に廊下へと走った。


しかし、そこに江藤君の姿はすでになかった。
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