平成極上契約結婚【元号旦那様シリーズ平成編】
顔をしかめる私に、兄は思い出したような顔つきになる。シルバーフレームの眼鏡をひょいと上げる兄だ。

「来週の木曜日、ブランド店のリニューアルパーティーの招待状があるんだ。行きたいか? 二名までOKだ」

兄は私が好きな高級ブランドの名前を言う。

一介のOLの私がボーナスをはたいてバッグがやっと買えるお高いブランド。アパレルもあり、大判のスカーフを短大のとき母に買ってもらい、今でも大切にしている。

「行きたい! あ、でも……お兄ちゃんはお義姉さんを連れて行かないの?」

「その日から北海道旅行へ行くんだ。パーティーに出席できずにがっかりしていたが」

兄夫婦の共通の趣味は旅行で、まとまった休みがあると出かけている。

「北海道かぁ~いいね。東京みたいに暑くないし」

「まあな。お盆休みくらい妻孝行しないとな。明日招待状渡すよ。友達といくといい」

来週の十三日金曜日から私も五日間お盆休暇になる。けれど、予定はないから兄夫婦がちょっぴり羨ましくなった。

「うん。ありがとう」

兄はダイニングルームのドアに消え、私は玄関を入って左の廊下の先にある自分の部屋にウキウキしながら歩を進めた。
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