平成極上契約結婚【元号旦那様シリーズ平成編】
廊下に並ぶドアの一番端の部屋へ入り電気をつける。手前が久美子の部屋だ。

十畳の洋間にはベッドとアンティークなライティングデスクとドレッサー、タンスとクローゼットがある。

それらはすべて艶のあるマホガニー材で作られた落ち着きのある家具だ。

ムワッとした空気に顔をしかめ、クーラーのリモコンスイッチを入れて、デスクの上の二つ折りの見合い写真が目に入る。

これをどうすればいい……?

私はその隣にある経済誌を手に取り、ベッドの端にポスンと腰を下ろす。

週刊誌ほどの大きさの経済誌は何十回となく見ているので、目的のその場所はすぐに開く。

見開きのカラーページに円城寺さんがオフィスの執務室で黒革のソファに座りインタビューを受けているものだ。

オーダーメイドであろう体にフィットしたグレーのスーツを身につけて、堂々とした佇まいの円城寺さんは何度見ても私の心をドキドキさせる。

「考えても仕方ない。お風呂入ろう」

手に届かない人を思っていても無駄なことなのだが、今はまだ他の男性と結婚なんて考えられない。

ふぅ~と、口をすぼめてから勢いよくベッドから立ち上がり、経済誌をパサッと閉じて机の上の元の位置に戻した。
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