平成極上契約結婚【元号旦那様シリーズ平成編】
パーティー会場である高級ホテルのエントランスには高級車がズラリと並んでおり、正面へ行くまで数分待ちそうだ。

「ひとみ、降ろしてもらおうか」

正面へ着くまで運賃が上がるのがもったいなくてそう言うと、彼女は顔をしかめる。

「ダメよ。そんなのたいしたことないんだから。見くびられないようにね」

体裁を気にするひとみだ。

ホテルの敷地には入っているのだから、ここで降りて二十メートルくらい歩くくらい私は気にしないのだけど。

エントランスの前にタクシーは止まり、ひとみが運賃を払って表に出た。割り勘で払うのを忘れないように金額も頭に入れる。

「すごいわ。俳優や女優の車じゃないかしら。こんなことならハイヤーを頼めばよかったわ」

招待者らしき人の中にはロングドレスの女性やタキシードの男性もいる。

私たちが来たのは場違いだったかもしれない。

ひとみはそんなことは思っていないようで、意気揚々と「早く行きましょう」と私の腕を掴んでロビーの中へ歩を進める。

広いロビーにはたくさんの人がいた。私たちは案内板を確認して、大宴会場の『鳳凰の間』へ向かう。

大宴会場の手前にクロークがあるが、預けるものはないのでその先の入り口の横の受付へ行く。

受付には綺麗目のスーツやワンピースを着た女性スタッフが立っており、接客をしている。

私はバッグから招待状を出し、女性スタッフに手渡して周りをキョロキョロ見回しているひとみとパーティー会場へ入った。
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