平成極上契約結婚【元号旦那様シリーズ平成編】
立ち上がった彼が首を少し傾けて私を見ている。
「私……、大山達也の妹の明日香です」
「達也の? ……ああ。君の髪の色で思い出したよ。何度か君の家で会ったことがあったな」
覚えてもらえていたことがうれしくて、顔をほころばせた。
「達也の妹を救うことができて良かったよ。一年ほど、達也に会っていないが元気かい?」
「はい。結婚して同居しています」
「彼の結婚式は海外にいて出席できなかったんだ」
私は円城寺さんが欠席すると兄から聞いて、がっかりしたのを思い出した。
「達也によろしく伝えて。それと」
円城寺さんはタキシードの内側へ手を入れ、ダークグリーンの名刺入れを出した。そこから一枚抜き取り私へ差し出す。
「えっ……」
円城寺さんに名刺を出されてびっくりする。
「名刺……」
「何かあったら連絡するといい」
差し出した名刺を私が両手で受け取ると、円城寺さんは去って行く。その後姿は人で見えなくなった。
名刺には『株式会社 円城寺地所 専務取締役 円城寺真吾』とあり、会社の住所と社長室の電話番号が書かれていた。
円城寺さんと話をしたなんて……。それに私の髪の色を覚えていてくれた。顔が緩んでくる。
「私……、大山達也の妹の明日香です」
「達也の? ……ああ。君の髪の色で思い出したよ。何度か君の家で会ったことがあったな」
覚えてもらえていたことがうれしくて、顔をほころばせた。
「達也の妹を救うことができて良かったよ。一年ほど、達也に会っていないが元気かい?」
「はい。結婚して同居しています」
「彼の結婚式は海外にいて出席できなかったんだ」
私は円城寺さんが欠席すると兄から聞いて、がっかりしたのを思い出した。
「達也によろしく伝えて。それと」
円城寺さんはタキシードの内側へ手を入れ、ダークグリーンの名刺入れを出した。そこから一枚抜き取り私へ差し出す。
「えっ……」
円城寺さんに名刺を出されてびっくりする。
「名刺……」
「何かあったら連絡するといい」
差し出した名刺を私が両手で受け取ると、円城寺さんは去って行く。その後姿は人で見えなくなった。
名刺には『株式会社 円城寺地所 専務取締役 円城寺真吾』とあり、会社の住所と社長室の電話番号が書かれていた。
円城寺さんと話をしたなんて……。それに私の髪の色を覚えていてくれた。顔が緩んでくる。