平成極上契約結婚【元号旦那様シリーズ平成編】
「ひとみ、しっかりして」

酔っぱらったひとみの腕を支えながら、先日訪れたバーへ連れてきた。顔見知りのマスターがいるところだ。

「んー。もう一軒行こう!」

「もう来たから」

陽気に腕を上げながら脚をふらつかせるひとみを入店させる。

時刻は二十四時を回ったところで、田中さんと石橋さんとはさよならして別れている。彼はあくまでもミツグくんで、ひとみはいつまでも一緒にいたくないようだった。

彼らと別れるとき、ひとみは酔っぱらっている風には見えなかった。

その時によって遊ぶ男性が違うひとみのようには真似できないといつも思う。

「いらっしゃい」

バーカウンターの中から髭を蓄えたマスターが笑顔で迎えてくれる。

「ひとみちゃんは出来上がってるのか」

「そうなんです。少し休ませてください」

「いいよ。いいよ。奥が空いているからどうぞ」

マスターはスタッフに奥へ案内するように伝える。

「ありがとうございます」

私はマスターにお礼を言って、ひとみを抱えながら奥のテーブルへ歩を進めた。

ひとみをふたり掛けのソファに横たわらせて、ふぅと息をつく。

どうしようか……。少し休ませてからタクシーで送るか……。酔いが醒めればいいのだけど。

私は二十三時の時点で、兄に電話をして母に事情を説明してもらうようお願いした。

話が分かる兄は「仕方がないな。母さんに伝えておく」と言ってくれた。
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