平成極上契約結婚【元号旦那様シリーズ平成編】
食べ終わり、バッグに入っていた推理小説の文庫本を開いて読み始める。
バーのお客さんは数えるほどになっていた。朝五時まで営業しているので、とりあえず安心だ。
ひとみは四時まで眠り、私は文庫本一冊を読み終えていた。
その間、アイスティーのお代わりやマスターが特別だよと言って、お客さんからの頂き物のチーズケーキを出してくれて、私のお腹はパンパンになっていた。
真夜中に色々食べてしまい、明日からダイエットしようか。
「ひとみ、大丈夫?」
目を覚まして、のそっと体を起こすひとみに声をかける。
「明日香、ごめーん。酔って寝ちゃったのね」
「うん。ここまでちゃんと歩いてくれたからよかったの」
ディスコからここ、ラージャまで徒歩五分ほどのところで助かった。
ひとみは腕時計で時間を確かめると、顔の前で両手を合わせて『本当にごめんっ』と謝る。
「私もゆっくりできたし。なかなか進まなかった本も読み終わったし。お水もらってくるね」
椅子から立ち上がったところで、店員が水を持ってきてくれた。
「ありがとうございます」
コップを受け取り、まだ酔いが残っている様子のひとみに手渡した。
「始発まであと一時間くらいかぁ……朝帰りさせちゃって本当に申し訳ない」
「タクシーで送っていってもよかったんだけど、私もちょっと冒険してみたかったの」
「そう言ってもらえると、罪悪感が少し薄れるわ」
ひとみはコップの水を一気飲みした。
「何か食べる? コーヒー頼もうか?」
「コーヒーが飲みたいわ。お手洗いに行くから頼んでくる。明日香は?」
「私はもう何も入らないくらいお腹がいっぱいなの」
お腹を擦る私にひとみは笑って、席を離れた。