平成極上契約結婚【元号旦那様シリーズ平成編】
麦茶をキッチンで入れて部屋に戻ると、ライティングデスクを開けてテーブル台を出す。コップを置いて引き出しの奥にしまっていた円城寺さんの名刺を取り出した。

どうしたらいいの……?
 
このままでは父に押し切られて、お見合いをさせられてしまう。

「好きでもない人と家庭を作るなんてまっぴらごめんだわ!」
 
思わず声に出していた。


『何かあったら連絡するといい』
 
円城寺さんが名刺を渡してくれたときのことを思い出す。

彼と本当の結婚はあり得ないけれど、父の見合い攻撃から逃げるには円城寺さんのような人が恋人のフリをしてくれれば当座おとなしくしてくれるに違いない。

円城寺さんは恋人役だけでいい。付き合ってほしいなどとは問題外。一度だけ、父に会って『お嬢さんとお付き合いしています』と話してくれればいいのだ。

頼んでみようか……。何かあったら連絡するといい。とまで言ってくれたのだ。リップサービスだとは思うけど。

私はもう一度手に持っている名刺を穴が開いてしまいそうなくらい見つめる。

「ここで悩んでいても事は父の思うように進んでしまう。私も行動を起こさなきゃ!」
 
決心を口にした私は大きく頷いた。
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