転性悪役令嬢~昼は少年、夜は少女~破滅フラグ回避頑張ります
「マルヴェルの名前は新入生になかったと思うけど」
 母が首を傾げる。
「あら、そうなの?クレアが、マルヴェルも中等部から王都の学校へ通うからと言っていたけれど、別の学校なのかしら?」
 それから嬉しそうに笑う。
「でも、王都にいることは間違いないんですもの。今度クレアに、遊びに来てと誘ってみるわね。マルヴェルも大きくなったでしょうね」
 マルヴェル……が、王都に……。会いたいけど、合わせる顔がないなぁ……。
 高等部で会おうって言ってたのに、高等部に行く気ないなんて……知られたくないというか……。
 マルヴェルの純粋で綺麗な瞳を思い出す。
 かわいい弟分を悲しませたくない。っていうか、一緒に高等部行こう!騎士になろう!
 って、言われたら……「うん」ってうっかり頷いちゃいそうだ。
 けど、なんで王都の中等部に進学したんだろう。もともと中等部は領地で過ごすつもりだったから、高等部で会おうって約束になったんじゃないのかな?
■69
「リザーク、じゃぁ、数学の勉強一緒にしようか」
 兄2が胸に本を抱えて嬉しそうに立っています。
「私も手伝いますから」
 と、兄6もきりりと目を輝かせている。
「うっ、しかたない、しばらくは、兄貴とお前にリザのことは任せる……」
 兄4がうなだれて、兄2と兄6の肩をぽんぽんと叩いた。
「兄貴、練習に付き合ってくれっ!」
 そして、兄1を引っ張って鍛錬場へと移動しました。
 残されたのは、戦術にかけては右に出る者はいないという兄2と、学術全般知識量にかけては誰にも負けない兄6。二人とも体よりも頭を使うことに長けていますが……。
 剣術と違って、数学は……。
「初めのテストの範囲は加算と減算なので、とくにお兄様に教えていただくことは……」
 ないから大丈夫ですと言う前に、兄2の目に涙がたまっている。
 お、お兄様……。いやいや、20歳になろうというお兄様が、そんなことで涙してどうするんですか!かわいいけどっ!
 兄6もすんごく寂しそうな顔してる。
「私は、アルフお兄様ほど役に立てない……」
 としょんぼり。
 あーうー。
「じゃ、じゃぁ、問題作りのお手伝いをお願いしても……」
「問題?」
「はい、クラスメイトが計算の練習をするための問題なんですが……答え合わせをするための答えの準備とか……」
 と、紙に100マス計算用のマス目を仕切る。
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