運命が変えた一夜 ~年上シェフの甘い溺愛~
これ以上綾乃を誘っても困らせてしまうだけかもしれない。
誘いを断る綾乃にも事情があるのかもしれない。

悟は綾乃との関係が浅いからこそもどかしくも感じながら、それ以上無理に綾乃を誘うことができなかった。

「ちゃんと飯、食えよ?」
「・・・はい」
悟は綾乃の頭にのせていた手をそっと離すと、「行ってらっしゃい」と笑顔を向けた。

「行ってきます。」
綾乃は痛む心を隠して、悟に背を向けて歩き出す。

痛い・・・痛い・・・痛すぎる。

厚意で悟は声をかけてくれたのに、失礼な態度をとってしまった。

せっかく・・・

綾乃は温かな悟るの微笑みとスープの味を思い出して、つんと鼻の奥が痛んだ。

なに、泣きそうになってるのよ・・・
< 57 / 349 >

この作品をシェア

pagetop