罰恋リフレイン
「蒼くんが帰っちゃったかと思った……」
「帰らないよ。天気予報アプリですぐに雨が降るって通知来たから傘買いに行ってたんだ。折りたたみ忘れちゃって」
私と同じだと知って顔が緩んだ。蒼くんが来てくれてほっとした涙は雨で誤魔化せていたらいいのに。
「怒ってるよな。俺、薫に散々酷いことしたから」
「それは私も。怒ってるのは蒼くんでしょ?」
蒼くんは傘を私の頭の高さに上げたまましゃがんだ。
今度は私を見上げると「俺には当然の仕打ちだから」と呟く。
「薫……罰ゲームがお互いチャラってことならやり直せないかな? やり直しのやり直し」
蒼くんも泣きそうな顔になっている。
「俺のことマジで無理かな? 顔も見たくないくらいに嫌いなら、もう薫の前から消える覚悟でいる」
私の髪から伝った雨粒が落ちるのと同時に頬から涙も伝う。
「ごめん、風邪ひいちゃうね。これ使って」
蒼くんはカバンからフェイスタオルを取り出した。
「会社で配ってるタオル。新品だから気にしないで使って」
渡された真っ白いタオルは端に蒼くんの会社のロゴマークが入っている。そのタオルで目元を優しく拭った。
「蒼くん、正直に言ってほしいんだけど、私のことどう思ってた? いつでも罰ゲームだったって言う機会はあったのに、好きじゃない私とどうして付き合ってたの?」
「初めは、どう考えても罰ゲームだろってシチュエーションで本気にした薫を面倒な女だって思った」
蒼くんは懐かしむような顔をするけど私はムッとする。
「面倒な女ですみませんね」
軽く頬を膨らますと蒼くんは笑う。