罰恋リフレイン
日常生活でも氷室さんに似たような性格の女性が苦手になった。陰口を言われるんじゃないかと怯えるようになった。容姿に自信が持てなかった。積極的に恋愛をしようとは思えなくなった。
蒼くんに嘘をつかれていたとしても傷つけて傷つけられることはなかったかもしれない。今現在の蒼くんとの関係は違ったものになっていた。氷室さんにも原因はある。
「謝られても……取り返しがつかないことはいっぱいある……」
目に涙が溜まってきた。氷室さんの前で泣きたくないのに涙は勝手に溢れる。
「本当にごめんなさい……たくさん酷いことをしました」
氷室さんは再び私に頭を下げる。
「私のことは許さなくていいから……蒼のことは信じてあげてほしい」
「誰のせいで信じられなくなったと思ってるの……」
私の呟きに氷室さんはもう一度頭を下げる。
「何を謝られても、私はもう彼とは何の関係もありません」
「私と蒼は本当に別れてる。だから日野さんをからかってるんじゃないの。蒼は純粋に日野さんが好きで、傷つけようなんて思ってないから」
「そんなこと言われても……」
蒼くんが私に対して何を言おうとどう行動しようと素直に受け取れない。
「私が言えたことじゃないんだけど……日野さんもまだ蒼に未練があるのなら、話し合ってほしい」
この言葉に苛立ちが募る。
どうしてみんな蒼くんの味方をするの? まるでいつまでも怒って傷ついたままの私が悪いみたいに。
「私はもう消えるね。今までのこと本当にごめんなさい」
氷室さんはもう一度頭を下げて私の横を抜けた。
「高橋くんたちもありがとう。お邪魔しました」
部屋から静かに出て行くとリビングは新婚夫婦の部屋に似つかわしくないほど静かになった。
居心地の悪さに私も帰ろうとすると香菜が「薫、座って」と私の両腕に手を添えてL字のソファーに座らされた。