エリート外科医の灼熱求婚~独占本能で愛しい彼女を新妻に射止めたい~
「多少の寝不足は認めるけど、昼に帰ってきてから仮眠をとったし、ちょうど目が覚めたからシャワーを浴びたところだったんだ」
「そ、そうだったんですね……。な、なんだぁ〜〜〜。よかったぁ……」
「百合⁉」
当の私は、安心したら腰が抜けた。
自分の目の前でヘナヘナとしゃがみこんだ私を見た近衛先生は、珍しく慌てた様子で片膝をついた。
「おい、大丈夫か?」
「わ、私、近衛先生が家でひとりで倒れてたらどうしようって思って、焦って……」
改めて、今の自分の姿を俯瞰する。
仕事着のパーカーにジーパンで、エプロンもつけっぱなし。玄関で脱いだ靴も、仕事中に履きなれたスニーカーだ。
「すみません、私、慌てて家を出てきたのでこんな格好で……。でも、私が坂下先生に騙されただけで本当によかったです。近衛先生が元気で、本当に本当に良かった」
床に手をつき、脱力したまま、ヘラリと笑った。
ああ、そうだ。婚約者のことも、聞こうと思ってたんだ。
でも、今はそれより何より、近衛先生が無事だったという事実で頭の中はいっぱいだった。
ここまで気を張り詰めて来たぶん、本当に、心の底からホッとした。