エリート外科医の灼熱求婚~独占本能で愛しい彼女を新妻に射止めたい~
「待て、だったらなんで、そのことをすぐに俺に確認しなかった?」
「だ、だって。良い子で、聞き分けのいい女でいなきゃって思って。それくらいしか、今の私が近衛先生に釣り合う条件って思い浮かばなかったから」
本音をこぼせば、近衛先生が「ハァ」と息を吐いて眉間を押さえた。
「す、すみません。私、子供みたいなことを言って──」
「いや、別にそうは思っていない。だけど百合は、大きな勘違いをしている」
「……勘違い?」
「ああ。とりあえず、俺と梨沙子についてだが……。たしかに、幼少の頃に親同士が勝手に盛り上がって、梨沙子と俺を結婚させようなんて話があったのは事実だ」
「そ、それじゃあ、やっぱり……」
「だが、それはあくまで子供の頃の話だ。俺はこれまで一度だって、梨沙子を女性として見たことはない」
「え……?」
予想外の言葉に、私はポカンとして目を丸くした。
けれど近衛先生はまた難しい顔をすると、今度は少し言い難そうに言葉を続けた。
「……だけど、実際に病院内で、梨沙子と俺のそういう噂話があることは以前から把握していたんだ。でも、俺は敢えて否定しなかった。そうすることで、いわゆる厄介事を避けていた」
その厄介事が女性にまつわることなのだということは、近衛先生の顔を見たらわかった。