エリート外科医の灼熱求婚~独占本能で愛しい彼女を新妻に射止めたい~
「り、梨沙子さんとの噂を、女性避けに使っていたってことですか……?」
「……そういうことだ。副院長の娘である梨沙子が俺の婚約者だということにしておけば、面倒な思いをせずに済んだから」
言いながらまた眉間を押さえた近衛先生は、チラリと私の顔色をうかがった。
「だから、百合に梨沙子とのことを勘違いさせたのは、俺にも責任がある。でも、本当に梨沙子との間には何もないんだ。それだけは信じてほしい」
「それは……」
「実際、百合が俺たちのどんな会話を聞いて勘違いしたのかわからないが、そもそも梨沙子は今、坂下に夢中なんだ。百合が信じられないなら、今すぐこの場で梨沙子に電話したっていい」
そう言うと近衛先生は本当に携帯電話を手に取った。
私は咄嗟に止めたけれど、頭の中は近衛先生に聞かされた話で混乱していた。
「梨沙子に確認しなくていいのか?」
「だ、大丈夫です! でも、梨沙子さんが、坂下先生のことをって……。ほ、本当ですか?」
「ああ、本当だ。梨沙子はちょうど半年ほど前に病院を訪れたときに、坂下に一目惚れしたらしくて。それで、坂下と良い雰囲気になれるように協力しろと言われていたんだ」
「協力……」
「梨沙子は俺が病院で、自分との噂を利用していることを知っていたから。坂下は噂を信じていないと言ったんだが、責任をとれと凄まれて……」
お嬢様風だった梨沙子さんが凄むところは想像がつかないけれど、近衛先生は本当に参っているといった顔をしていた。