エリート外科医の灼熱求婚~独占本能で愛しい彼女を新妻に射止めたい~
 

「まず、俺が食事会を計画すること。そして、坂下にきちんと、俺と梨沙子の間には何もないことを説明するようにと頼まれていた」

「坂下先生に説明……」

「良い大人がそんなことをする必要はないと苦言を呈したんだが……。梨沙子は昔からこうと決めたら曲げない主義で、さらに言えばロマンチックな恋の始まりに憧れている、だから、そのために協力しろと言ってきかなくて」


 ふぅ、と悩ましげな息を吐いた近衛先生は、決して嘘をついているようには見えなかった。

 今の話を聞いてもう一度、私はあのときのふたりの会話を思い出してみた。

『ねぇねぇ、それでさ。例の話なんだけど……いい加減、いつにするか決めてくれた?』

『決めるも何も、別に特別なことをする必要はないだろう。お互い、もう良い年なんだから』

『もうっ。透くんって、ほんとそういうところデリカシーないよね。こういうのは、年齢とか関係ないの。私が気にするタイプなの、知ってるでしょ?』

 ──そうか。つまり、あれは全部、梨沙子さんの坂下先生に関する恋の相談だったってこと?


「梨沙子だって、俺を男として意識したことはないだろうな。あいつが好きになるのはいつも、坂下みたいな人当たりがよくて、誰にでも愛想よくするようなやつだから」

「そ、そうだったんですね……」


 話を聞き終えた私の身体から、またヘナヘナと力が抜けた。

 婚約者の件は、私の勘違いだったんだ……。

 とはいえ、そもそもは近衛先生が噂を否定せずにいたことが原因でもあったということだ。

 
< 136 / 142 >

この作品をシェア

pagetop