クールな副社長はウブな彼女を独占欲全開で奪いたい
「宝生さんのお孫さんですか」

 平常心を装って受け答える。

「そうそう。あの人、白峰さんに会いに来ていたんだろう?」

「そういうわけではないですよ。たしかに、事情があってお世話になっていましたけど」

「事故に遭ったんだって? 大変だったなあ」

 出所は宝生さんだろうか。それとも遥人さんか。

 どちらにせよ、私が遥人さんに送迎を頼んでいた経緯を知っているようだ。

「もうだいぶよくなりましたよ。だから宝生さんのお孫さんも、みえなくなったんですよ」

 湯川さんは納得した様子で「へえ」と呟く。

「てっきり、彼は白峰さんのいい人だと思っていたよ」

「なに言っているんですか」

 速くなった鼓動を誤魔化すように笑い飛ばした。

「そういえば彼氏がいるんだっけ」

「その彼とは、お別れしました」

 いくら体裁が悪いといっても、嘘をついてまで隠したいとは思わない。だから正直に伝えると、湯川さんは意外な反応を示した。
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