クールな副社長はウブな彼女を独占欲全開で奪いたい
「小春、怒ってる?」

「怒ってないよ。ただ、水輝がなにをしたいのか分からないだけ」

 水輝は額に滲んだ汗を手のひらで拭った。

 彼はあまり汗をかかない人だ。いつからここにいるのだろう。こんなふうにしなくても、電話をすればよかったんじゃないのかな。

 そう考えて、顔を突き合わすためにわざわざ足を運んだ水輝に情が湧く。

 話をするくらいならいいか……。

「手短に話してくれない?」

 水輝は決まり悪そうに目を伏せる。

「俺が嘘をついていたこと、黙っていてほしいんだ」

「黙っておくって誰に」

「この前会った子。あの子、この建物で働いているんだ。今後小春と会う可能性もある」

 一、二階にあるショップかレストランか。はたまた認可保育所か。

 たしかに会う可能性はあるけれど、もうあの女性の顔を覚えていない。

 私に会いに来たわけではなく、彼女に会うついでに私を待ち伏せしたのか……。

「口止めをしに来たってわけね」

「そう」

 水輝はハッキリとした口調で頷く。
< 109 / 165 >

この作品をシェア

pagetop