クールな副社長はウブな彼女を独占欲全開で奪いたい
「三週間しか経っていないのに、あんな親しくなるか? 姪っ子だっけ。あの子にも懐かれていたじゃん」

「その言葉そっくりそのまま返すよ」

「俺はもう一年……」

 水輝は言いかけて口をつぐむ。

 嘘ばかりだ。さっき二股ではないって言っていたのに。

「まあ、俺はあの子に、小春が危害を加えなければなんでもいいから」

「私が危害を加える? どうしたらそういう考えに行きつくの?」

「俺を恨んでいたら、その可能性はあるだろう」

 本当に私は水輝にとって金づるでしかなかったんだ。でなければ喧嘩別れしたわけでもないのに、元恋人にこんなひどい言葉が吐けるだろうか。

「話聞いてる?」

 項垂れている私の右肩を掴んで顔を覗き込んだ水輝は、うんざりした様子だった。

「手を離して」

 水輝は力を弱めはしたが、肩から手をどける気はなさそうだ。

「やっぱりなにしでかすか分からないし、お金は返すよ」

「いらないし、なにもしない」

 いつまでこの話し合いを続けなければいけないのか。そもそも口約束で水輝が納得するのか。

 気が遠くなりかけた時、「そのくらいにしてもらおうか」と、どこからともなく声が降ってきた。
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