クールな副社長はウブな彼女を独占欲全開で奪いたい
 私の反応に満足したのか、水輝は「もういいわ」と言い残して私たちの横をすり抜ける。

「待て」

 水輝の腕を遥人さんが掴んで引きとめた。

「金輪際、小春の前に現れないと約束してくれ」

「は?」

「悪いが先ほどの会話はすべて聞かせてもらった。君の恋人がこの建物で働いているのも、君が小春を騙してお金を取っていたのも。どういう意味か、分かるよな?」

 すらすらと語る遥人さんに呆気に取られる。さっき来たばかりじゃなかったの?

「頼まれたって、かかわったりするかよ」

 水輝は吐き捨てるように言い放つ。

「小春に謝罪はしたのか」

 水輝は睨みをきかせて遥人さんを見ていたが、不意に視線を落として「悪かった」と呟いた。それから逃げるように立ち去った。

 本心で言っているようには見えなかったけれど、遥人さんに言い負かされている水輝の姿に胸のつかえが下りていくようだった。
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