クールな副社長はウブな彼女を独占欲全開で奪いたい
 身を固くして感情を押し殺していた私の頭に、ポンッと大きな手のひらが乗る。

「もう行ったよ」

 その言葉に後ろを振り返る。言われた通り水輝の姿はどこにもなかった。

 ふうーっと肩で大きな息をつく。

 離れていった遥人さんの手を目で追って、この手が私の頭によく乗るのは、高さ的にちょうどいいからなのかなと思った。

「ありがとうございました。助かりました」

 遥人さんはしばらく私の顔を見つめて、吐息と共に口を開く。

「来客用に車を置いてあるから、ひとまず乗ってくれる?」

「え?」

「まさかこのまま帰ろうなんて思っていないよね? 俺がここに来たのは、白峰さんに用事があったからだよ。それに激昂した彼が接触してくるかもしれない。家まで送って行くよ」
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