クールな副社長はウブな彼女を独占欲全開で奪いたい
 自動販売機でお茶を買ってから、座れる場所を求めてふらふらと歩く。

 土曜日の公園には、十九時を過ぎても人の姿がちらほらとあった。

 空いていたベンチに並んで腰かける。すぐそばに木があるので蝉が騒がしく、少しだけふたりの距離を縮めて会話を交わす。そうしなければ声が聞こえない。

「お金を騙し取られたといっても数万円ですから。遥人さんが忠告してくれたし、彼とは本当にこれきりになるはずです」

「……そう」

 考え込むように眉根を寄せた遥人さんを眺めた。

 今日はネイビーのシャツに黒のパンツを合わせている。

 遥人さんはシンプルな服装が多い。飾らない出で立ちは好感が持てるし、彼のスタイルのよさが際立って素敵だ。

 無遠慮に視線を送り続けていたら、遥人さんが「ん?」という顔をした。私はふっと笑う。

 遥人さんを前にするとドキドキして心臓が壊れそうになるのに、それとは対照的に気持ちが安定するのが手に取るように分かる。不思議だ。

「宝生さんもそうですけど、遥人さんも癒し系ですよね」

 ふふっと笑うと、遥人さんがどこか驚いたように目を見張った。

 よかれと思ってこぼした本音だったが、気を害してしまっただろうか。
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