クールな副社長はウブな彼女を独占欲全開で奪いたい
 遥人さんの優しさは、私の心臓を簡単に砕くほど残酷だ。

 伶香さんという愛妻がいるのに、よくもそんな発言ができたものだと唇を噛む。

「これでもずっと愛情表現をしてきたつもりなんだけど。少しも伝わっていなかった?」

 もちろん思い当たる節はある。分かりやすいくらい直接的な言動もあった。

 でもそれは、友人に対するものと同じだと思っていた。むしろそうじゃなければいけないと自分に言い聞かせてきた。

 だから『私と友人になりたいという意味ですか?』と尋ねたのだし。遥人さんだって肯定していたじゃない。

 それなのに……。

「小春。好きだよ」

 しっとりと湿っているような甘い声で言い、遥人さんは微笑んだ。

 こうなるのを一番恐れていたのに防げなかった。

 胸が躍るほど嬉しいのに、私の心は絶望する。

「どうして……」

 平気で好きなんて言えるの。

 遥人さんは手を肩から下に移動させて、私の腰をぐっと自分に引き寄せた。逞しい身体は温かくていい匂いがする。
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